なるかわしんご(NarukawaShingo)

えほんとぼく

【東北1日目】現地の今と、世界一かっこいい種屋さん

time 2015/03/31

【東北1日目】現地の今と、世界一かっこいい種屋さん

 

葛藤を感じながら・・・・


 

あるプロジェクトで、
陸前高田市で種屋を営む、
佐藤さんにお会いしてきました。
あわせて、被災された地域の案内もして頂きました。
感じたこと、他県の人間が感じること。
デリケートな問題ではありますが、
記しておきたいと思います。
まずは一日目を。

現地に行く前は、色んな想いがひしめいていました。

「やっとなにかできる」という嬉しさや、

「張り切っていくものなのか?」という自分への問い。

「のこのこと今更行って何ができるのか?」という不安。

とにかく、自分の目で、足ですべて感じようと、
心の中の自分と、
押し問答?しながら東北へ向かいました。


 

やっぱり自分の目で見ないと・・・・

どうしても当事者でなければ、
一方的に流れてくる情報に冒されてしまいがちで、
意識してないと、ステレオタイプになってしまう。
そんな僕も、
メディアで放送された映像や、
写真のイメージが先行していて、
真実の一部は見てたとしても、
やはり何か足りないという感覚がありました。
悶々としながら、新幹線で一の関駅到着。
陸前高田市を目指し、
レンタカーで1時間ほど山道を走る。

黄色の線が津波境界線
黄色の線が津波の被害が及んだ場所。
東日本大震災(地震、津波)、被害状況専門サイトより地図抜粋
※HPはこちら

黄色が津波境界線

暫くすると、殺風景な河原沿い。

「ここにも津波が押し寄せたんです。」

当時は、線路がめくれあがっていたそうだ。
現地にきて初めて撮った写真。
写真を撮った後、
手を合わせずにはいられませんでした。

「ここから海なんて見えない。」

誰もここまで来るとは想像できないと思います。
水圧で鉄の線路が空に向かって歪がんだそう。

柱だけが残る

ここは上にあった橋が全部無い。

推定390年のスギ巨大な木、自立しているが、津波の塩害で、
枯れてしまったようです。
地元の方に言わせると、400年に一回は大津波が来るらしく、
その時に植えたものではないかとのこと。

撤去されていない建物おおよそのものは撤去され、更地になっていましたが、
立ち入り禁止のフェンスの向こう側には外側だけ残った建物、
中から爆発したように見えた。何階だったのかも不明でした。

野花

なんでもないところに咲いていました。
時間は確実に流れているんだと、
僕の心を少し慰めてくれました。

瓦礫が押し寄せた跡

目的地の種屋さんまであと少しのところ。
フェンスが一部押された形跡がありました。
高さが分かりにくいですが、
地面から4~5mのところまで津波がきたのが分かりました。


 

津波を乗り越えて、種屋を営む佐藤さん

さとう種屋

ごあいさつすると、気さくにお話してくれました。
津波で必死で丘へ駆け上がり、ご自身は無事たったものの、
苗のハウスや家がもろとも流されたそうです。
流されたあとも塩害で地面はカチカチになり、
苗も育たない状態だったそうです。
佐藤たね屋

佐藤さん曰く、
「地面より下はわりときれいだけど、
地面より上は刃物でスパッと切ったみたいにきれいに無くなった」と。

そういうと、溝の蓋をあけて、説明してくれました。
その表現は確かに周りの景色が物語っていました。

言葉がでず、何度もうなずく僕を見て、

「あんたホント何も知らねーんだな。苦笑」

と、佐藤さんが言うと。
自分ですべて作りあげた
「ここにうどん屋があってな…。」

色々と親切に教えてくれました。

ホントは言いたくないだろうなとか
色々よぎりましたが、
しっかり聞こうと切り替えました。


 

とにかく高い所へあがれ

DSC06342

佐藤さんは何度も言いました。
車で遠くへ行こうとした人は皆流された。
遠くへ行っても間に合わない。
とにかく高い所へ逃げなさい。

そう力強く教えて頂きました。


 

震災後、跡地で2か月間地面を掘リ続けた。

井戸を見せてください。そういうと、
「良いよ。」と佐藤さん。

DSC06352ここの建物ですが、
津波のあと、
流れてきた屋根やドアを缶の蓋や、
刺さっていた釘を抜いて、建物を建てたそうで。
つぎはぎですが、素人は思えないぐらい、丈夫に作られていました。
拝んでから使ったそうだ。

つぎはぎで作った建物にはいろんな想いが
「どこぞのだれかさんのモノを使わせてもらってるからね」

始めは寂しいきもちから、
壁や看板に絵や文字を描いたそうで、
絵の目には希望と、涙は悲しみと。
当時の複雑な思いをすごく感じました。
今年の秋で種やさんの場所も嵩上げの対象になっていて、
撤去しなければならないそうだ。
震災後、海外や国内からたくさんの方がここに訪れるそう。

DSC06360

井戸は1分で100ℓでる。
もともとここら辺一体は川だったそうで、
以前の大地震で川が違うところに形成されたらしい。
もともと水脈があったのを知っていたので、
震災後、2か月来る日も来る日も掘り続けたそうです。

災害でパイプラインがだめでも、
井戸があればなんとかなると。
教えてくれました。
DSC06354

DSC06364
当時深さに合わせて、堀った道具。
鉄製のお玉や缶、竹など道具はさまざまで、
改良したりして、原始的ではありますが、
当時の状況で良くこれで掘ったなと。
衝撃でした。

DSC06365

道具がさびているのは、
おそらく塩分を含んだ土を掘ったのが原因で、
経時劣化ではないと思われます。

ある程度の深さまで行くと、
道具を落とした時が一番つらいと、
笑って話していました。
冗談をガンガンいってくれるので、
緊張しなくてもいい空気を作ってくれてた気がします。

それでも何度も泣きながら掘ったと、
ありのまま話してくれる佐藤さんが、
たくましくもあり、優しくもあり、
何よりかっこ良いなぁと感じました。


 

あぁ、この人は希望を作ってるんだと。

ハウスを見せてもらったとき、
感動して、
「森が生きてる」と思わず言ってしまいました。
苗が躍動しているように感じたんです。

DSC06366

「アーティストとかはおかしなこという人が多いんだなぁ(笑)」

と佐藤さん。

森だ

佐藤さんは種屋だけど、
「希望という目に見えない何かを生み出している。」
と感じました。
町全体が苗を大事にされる文化や環境があると思いますが、
津波に負けず、いろんな想いを背負い、
運命に向かって前進する様は、
国境を越え、感動を与え続けています。


 

希望や信念を持つと、
人に勇気を与えることができる。

どんなに辛くても、
佐藤さんは立ち向かったんだと、
言動とこの建物が教えてくれました。

また同時に、
遊び心と優しさを持った、
スーパーマンみたいな人でもありました。

遊び心 靴 感謝 ユニーク メッセージ 悩みにこたえる

僕がよそ者でも分け隔てなく話してくれた佐藤さん、
ここに連れてきてくださった、Whetten夫婦、
つなげてくださった、にわとりの会さん、

本当にありがとうございます。

学ぶこと、感じることが本当に多く、
僕がここに記すことにも若干抵抗はありますが、
僕には内にとどめておくのは余りにも酷であり、
同時にこの教訓と、そして佐藤さんという方を発信します。

岩手が大好きになりました。

ありがとう、佐藤さん。

 

お仕事(WORKS)

お知らせ

つれづれ

イラスト

キャラクター

実績・実施先一覧

絵本

講座・講演

自己紹介

なるかわしんご

なるかわしんご

なるかわしんご(絵本作家・イラストレーター) 1989年(平成元年)生まれ、三重県四日市市在住。27歳。中川たかこを師事する。現在はピース・ピースに所属、専門学校の絵本コース講師を務める。影響を受けた作家は、M・センダック、ジョン・バーニンガム、和田誠、宮崎駿など。